金属熱処理

「溶着について」

2020.10.23
金属熱処理

「熱処理で溶着しました」

熱処理の主な不具合例として、焼入れの場合、反り・偏心・焼割れがなどが起こります。

では焼鈍(焼きなまし)の場合は「変形と溶着」です。おおよそですが、焼鈍は溶解温度の半分程度になります。

銅の溶解温度は1083℃、焼鈍は400℃前後

鉄の溶解温度は1583℃、焼鈍は850℃前後となります。

 

 

「溶着の原因は熱処理だけではない?」

 

焼鈍温度は材質や目的ごとに決めて行われますが、決して低いとは言えない温度です。

金属同士の表面を合わせて処理を行う場合、質量が大きければ大きいほど、面積が広ければ広いほど、

溶着は起こりやすくなります。

また、焼鈍する材質のほとんどは膨張するものが多く、部品同士が密接していると溶着の原因となります。

 

 

最も多い要因は金属表面についた「不純物」が考えられます。水分・油分・鉄粉などで前処理(脱脂・洗浄)を行いますが、

成分などにより残留するものがあり、絶対とは言い切れません。完全に行う場合、専門の会社に

依頼することもひとつです。コストはかかりますが品質保持の観点から、思わぬ改善が見込めるかもしれません。

 

 

続いては部品加工などで発生する「バリ」です。ある程度のサイズや厚みがあるものは

バレルや化学研磨でなめらかに仕上げることが出来ます。

しかし、精密部品となるとその技術は格段に困難になり、数ミクロンのバリでも溶着の要因となる場合があります。

これには部品発注側、加工会社、熱処理会社の連携が取れており、

各工程の問題点を話し合えるコミュニケーションが必要と考えられます。

 

 

 

「工程(4M)は依然と変わりません」やはり、誰しもが自社に非を認める発言をすることはありません。

しかしながら、設備も道具も「経年劣化」があります。また、始業点検を毎日行っていたとしても、

思いもよらぬ事態が発生することは多々あります。

 

「熱処理の溶着を防ぐ方法はあるのか?」

 

 

正直なところ、完全に防げる方法はありません。最もオーソドックスな手法としてはアルミナ(Al2O3)粉末を塗布し、

溶着を防ぐ方法です。アルミナ粉末はセラミックの材料で耐火性に優れているため熱処理で多く使用されています。

ただし、粉末を完全除去するには再度洗浄を行わなくてはなりません。

また一部の熱処理設備では粉末が故障の原因になる場合があります。

 

 

平坦なものならば、セラミックペーパーを使用する、という方法もありますが、再利用が難しいため(破けるため)

高コストにつながってしまいます。溶着防止剤を塗布し、熱処理で表面を覆うという手法もあります。

ただし、焼鈍などの温度より低い条件で行うため、熱処理を2回行うことになります。

また、表面状態が変化するので目視検査の承認を得る必要性が出てきます。

 

 

熱処理治具の材質を変える、という方法もあります。

石英(ガラス)アルミナ(セラミック)カーボン

どれも耐火性に優れており、熱処理の治具としては最適です。しかしながら、各部品に合わせてつくるとなると、

成型技術の難しさもあり、高額になってしまいます。

 

 

最も確実な手法は、「整列させる」になります。

大量のロットならば機械のちからで可能ですが、少量、多品種の場合は単純に「手作業」です。

サーマル化工では創業から人の知恵と経験で部品ごとの整列方法、それに必要な治具、機械を使用して

精密部品の処理を行ってきました。これはお客様の協力、相談のもと開発したものでここでは紹介出来ませんが、

もし溶着で歩留まり改善をお考えでしたら、ご連絡いただければ幸いです。

 

「焼鈍」専用ページはこちらから

 

 

熱処理無料相談窓口を開設いたしました。

こちらをクリックしていただくと、専用ページに移行します。サーマル化工内の熱処理でなくとも大丈夫です。

 

「研究開発案件を事業としています」

 

サーマル化工ではこのような今までにない、熱処理で素材の付加価値を高める研究開発を事業としておこなっています。

研究開発を行っている企業様で熱処理に関しての計画のある案件はぜひご連絡いただければ幸いです。

 

 

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手続きに時間を有している皆様へものづくり企業のネットワークでワンストップサービスを提供いたします。

まずはお気軽に、熱処理のことならサーマル化工へ。こちらのお問い合わせフォームにご連絡いただければ幸いです。

 

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