「変色について」

「ステンレスも錆びる?」
Stain(錆び・変色)less(にくい)直訳するとこのような意味になるステンレス。
ステンレスは錆びない!というイメージがあります。一般的なステンレス、SUS304(18-8ステンレス)は
食器などにも使用され、ほとんどの人が錆びないというイメージを持っている材質です。
材料からそのまま加工をした製品は「不働態皮膜」という皮膜に覆われていて錆びにくくなっています。
また、高純度ガスの雰囲気下ではステンレスを錆びにくくする固溶化という熱処理もあります。
「錆びの原因は色々あります」
熱処理を何度も行うとクロム成分が析出し、鉄と変わらなるため、錆びが発生します。
たとえ雰囲気下、真空中でも温度、特に長時間の処理によっては激しく変色し、錆びやすくなることがあります。
ただし、熱処理を行わないと部品の加工応力で割れたり、曲がったりというのがステンレスです。
「変色の原因を特定するには」
ひとつに「酸化物」が付着していないかどうかです。ステンレスの場合、微量の油分で変色します。
これは還元性ガスでも、真空中でも起こる可能性がありますので十分な前処理が必要です。
次に治具や炉内が酸化していないか、または酸化した異物が混入していないかになります。
どんなに製品の前処理をおこなったとしても、同一の炉内に酸化物が混入していた場合、
還元雰囲気下(水素ガスなど)でも着色が起こる可能性は十分にあります。
処理前の状態から処理後の検査までおこないますが、酸化物は時間とともに進行するため
お客様の元へ届いたときに変色が始まっていることもあります。その原因を特定するには、場合により時間がかかります。
全ての金属は恒久的に使用できることはなく、特に熱処理後は金属特性(加工性、バネ性など)を
得るかわりに、失ってしまうものもあるということになります。
熱処理で繰り返し使用後のSUS304治具。850℃水素雰囲気中で約100回使用以後、未使用で1年間放置したもの
※錆びの進行を記録するための社内試験用です
「正しい熱処理をおこないます」
難削材のハステロイは応力除去のを適切な熱処理で行うことにより、耐蝕性、耐酸性を維持したまま製品化することが可能です。
オーステナイト系ステンレスは加工歪みや加工硬化が起こりやすく、それによる割れなどを防ぐために熱処理を
行うことで解決できます。ただし温度だけでなく、冷却速度も関係があるので正しい手法でおこなうことが大切です。
そして最も重要なことは、酸化した部品と製品を同じ炉内に投入しないことです。
可能性がある酸化した部品とは「前処理(洗浄など)が不完全だった場合」「炉内(設備)が酸化していた場合」
「熱処理治具の汚れ、経年劣化」になります。
ステンレスに限らず、熱処理をおこなう際には温度管理も重要ですが、治具の使用年数、回数を決め、更新することです。
継続する部品の安定した品質を維持するためにも専用で製作しておくことが歩留まりの改善につながります。
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純鉄0.1mm磁気焼鈍後
黒染め・パーカー処理を行ったサンプルです。