金属熱処理

「磁気焼鈍処理 脱脂に関して」

2023.07.11
金属熱処理

磁気焼鈍前の脱脂に関して

 

 

磁気焼鈍前は脱脂及び洗浄が不可欠です。それは磁気焼鈍後の部品の不具合に直結することがあるためです。

今回は磁気焼鈍後を含む熱処理前の脱脂洗浄の重要性に関しての内容です。

 

部品が汚れたままではどうなってしまう?

 

結果は部品同士がくっついてしまいます。加工後に洗浄されていないと、油分とともに部品にくっついている

加工粉などが原因でくっついてしまいます。熱処理の温度で溶着しているのでは、と思われますが

大体の場合はいわゆるコンタミが起こしているといえます。

部品の酸化が進んでしまうことと、磁気焼鈍で重要な脱炭が進まず、磁気特性が劣化することもあります。

炭素分を外に出してしまう(脱炭といいます)で磁気特性を上げていくため、

磁気焼鈍後の磁気特性検査で数値が規定に入らない等の結果が出る場合もあります。

その場合、加工後の洗浄、熱処理前の脱脂などの工程を見直すことが必要とおもいます。

 

このように、熱処理治具に部品のあとが残ってしまうことになります。

 

変色を防ぐためには

 

高温で長時間の加熱をする磁気焼鈍ですが、熱で油分を除去出来るほどではありません。

特に油に水分量が多い場合は炉内を油分で覆い、部品全体も隙間なく油分が付着した状態になります。

このまま冷やしていくと、窒素やアルゴンの場合、取り出したときに目視で判断がつきます。

水素雰囲気の場合、一度表面が還元した状態に見えますが時間がたつにつれ、変色が目に見える形となります。

全体的にくすんだ色合いとなり、光沢感が失われてしまいます。

 

次工程での不具合を防ぐためには

 

変色した部品にメッキをかける工程がある場合、前処理(酸洗など)を行いますが、

油分が多く残り厚い層となって焼き付いてしまった部品ではメッキムラの要因となる場合があります。

熱処理後ですが、防錆処理が不完全で表面が錆びた場合でも同様の現象が起こる可能性が高くなります。

磁気焼鈍前は油分、汚れを確実に落とし、熱処理後は防錆処理を正確に行うことで

不具合を事前に防ぐことが出来ます。

油分を落としていれば、光沢感のある仕上がりになります。

 

パーマロイやステンレスの場合

 

ニッケルやクロム含有量が多い特殊鋼の場合、直接水に触れることが無い限り、

熱処理後に錆びてしまうことは、ほぼまれです。それなのに時間経過とともに表面が変色してしまった場合は

熱処理前の油分付着を疑うべきです。近年の加工油はサラサラしており、目視では判断がつかないものも

あります。加工工程で脱脂洗浄が行われているかどうか、十分な確認が必要です。

析出硬化系や時効硬化系のステンレスでは含有している成分により表面が変色する場合がありますが、

これは金属特性上のこともあり、酸化や油分による変色では無い場合もあります。

 

水素雰囲気中でも、雰囲気(ガスの純度)を壊してしまい、変色してしまいます。

 

銅や真ちゅうの場合

 

これらも同様に脱脂洗浄は不可欠です。

特に酸化の早い銅部品は確実な処理が必要で、熱処理の焼鈍温度が低いので油分が多いと熱処理後、

炉から取り出した時点で変色が分かるほどで、大気中で熱処理をした場合と同等に酸化が見られます。

これを取り除くには酸洗いなどで可能ですが、相当に手間がかかり、

結果的にはコストに跳ね返ることになります。

油分による真ちゅうの酸化。処理には酸洗が必要となりますが、完全に戻らない場合もあります。

 

これを防ぐには磁気焼鈍前の脱脂洗浄を確実に起こなうことです。手間がかかる、コストがかかる、

を除こうとすると結果的に不具合を起こしてしまう要因となってしまいます。

 

 

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