「特殊な金属の熱処理」2
特殊な金属の熱処理 2
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皆様よろしくお願いいたします
今回は特殊な金属の熱処理について第2回目をご紹介します。
サーマル化工では、研究開発、試作、試験を事業の柱としております。
そのため、特別な用途に使用される合金や一般にはあまり馴染みのない
材質の熱処理のご依頼も承っております。
「A6063アルミニウム合金」は応力除去焼鈍
「バイカロイ」は強磁性材料
「電磁鋼板」は磁気焼鈍処理に関連しています。
ご注意:掲載されている画像はイメージであり、開発中の案件を含むため、
処理条件などの詳細が記載されていない内容についてはお答えしかねる場合があります。
ご理解いただけますと幸いです。
A6063 アルミニウム合金
アルミニウムは、ボーキサイト(鉱石)から高純度のアルミナ(酸化アルミニウム)を抽出し
電気分解することで生成されます。
アルミナ粉末は、熱処理時に溶着を防ぐために最も一般的に使用される防止剤です。
不活性ガスの高温下で焼成すると、アルミナ成形品(セラミック)になり
熱処理治具として、また断熱材としてシート状に加工されて使用されます。
超高温で焼結すると、人工サファイア(組成式が同じ)になり、LEDの基盤に不可欠です。
アルミニウムは、錆びにくい厚い不導体被膜、低温での割れに対する強さ
さまざまな加工の容易さといった特徴を持ち、広範囲にわたって使用されています。
ただし、欠点としては、高温に弱く(融点が低いため)
加工時の温度によっては加工硬化(歪み)が生じ、精度が損なわれることがあります。
A6063は、マグネシウムとケイ素を添加したAl-Mg-Si系合金のアルミニウムです。
この合金は加工性が良く、耐食性にも優れています。また、押出し加工性も高いです。
アルミニウムの熱処理において「T6処理」という専門用語があり、
これを施すことで強度を向上させることができます。
この処理は、アルミニウム熱処理の専門会社で行うことができます。
サーマル化工では、最終仕上げ前の高精度加工を実現するために、応力除去焼鈍を行っています。
焼鈍の温度は390~420℃で、保持時間は長めに設定し、
ゆっくりと冷却する(炉冷)ことを実施しています。
※部品のサイズや目的によっては、希望通りに仕上がらないこともありますので、
試作や試験については事前にご連絡、ご相談ください。
バイカロイ
バイカロイは1940年にアメリカで開発された圧延磁石で、
後にクロムを添加することで磁気特性が向上することが発見されました。
バイカロイ-1(Fe-Co-10V)は等方性で、ヒステリシス材(強磁性体)として使用されます。
交流磁場(送電線や変圧器などの近くで発生する磁界の強さが周期的に変化する場合)
によって消費されるエネルギーロスをヒステリシスロスと呼びます。
バイカロイ-2(Fe-Co-14V)とCr-バイカロイ(Fe-Co-8V-4Cr)は異方性で、
冷間加工によって製造されました。
加工が容易なため、薄板、細線、カップ形状などに使用されていましたが、
原材料費の高騰により、最近では鉄・クロム・コバルト磁石に置き換えられつつあります。
熱処理は600~650℃で2~3時間保持し、還元雰囲気の中で炉冷します。
この処理は応力除去焼鈍に似ており、後の着磁処理によってヒステリシス特性が向上すると考えられます。
ただし、結果の詳細については開示されていないため、
これが確定条件であるとは限りませんのでご了承ください。
電磁鋼板
電磁鋼板は、鉄の磁気特性を活かした鋼板で、機能材料としての役割を果たしています。
その使用は目に見えないため、構造材料と比較して理解しにくいとされています。
磁性材料は大きく分けて、全方向に同じ磁気特性を持つ「等方性磁石」と、
特定の方向で優れた特性を持つ「異方性磁石」があります。
電磁鋼板には、モーター用の無方向性電磁鋼板(Non-Oriented Electrical Steel)NOと、
トランス用の方向性電磁鋼板(Grain-Oriented Electrical Steel)GOの2種類が存在します。
モーターでは、電気エネルギーを磁気エネルギーを介して運動エネルギーに変換し、
回転させるために特定の方向に優れた磁気特性が求められます
(これにより熱によるエネルギー損失を防ぎます)
一方、トランスでは、電気エネルギーを磁気エネルギーを介して再び電気エネルギーに変換し、
電磁石として小さなスペースに磁気エネルギーを閉じ込めることが要求されます
(これにより磁束密度を高め、磁力を強化します)
熱処理条件は材質によって異なります。
特殊コーティング材料は750℃から800℃の間で、不活性な雰囲気(例えばN2ガス)の中で処理します。
電磁鋼板やケイ素鋼は820℃から870℃の間で、還元性の雰囲気(例えばH2ガス)が望ましいです。
ニッケル合金などは900℃から1100℃の間で、同じく還元性の雰囲気が望ましいです。
保持時間は約3時間で、炉冷は必須条件です。炉冷時間には指定がある場合もあります。
「研究開発案件を事業としています」
サーマル化工では、今までにない熱処理で素材の付加価値を高める
研究開発を事業としておこなっています。
研究開発を行っている企業様で、熱処理に関しての計画のある案件はぜひご連絡いただければ幸いです。
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