金属熱処理

「雰囲気熱処理とは」

2021.03.08
金属熱処理

「水素や窒素といったガスを使う熱処理です」

 

雰囲気熱処理とは「水素」「窒素」「アルゴン」などのガスを炉内に充填し、保護ガスとして熱処理を

行う方法です。金属表面を酸化から防ぎ、光沢感のある仕上がりとなりますが、それだけではありません。

相対するものとしては大気中での熱処理、比較されるものでは真空熱処理があります。

同じようなことが出来そうですが、それぞれ材質や目的によって異なります。今回は雰囲気熱処理に関しての

内容となります。

 

「雰囲気熱処理の種類」

1.水素雰囲気熱処理

水素ガスと空気を置き換える「置換」方法によって酸化を防ぎ熱処理を行います。

水素は還元性ガス(酸化の対義語)になりますので酸化した(錆びた)金属の光沢感を取り戻すことが

可能です。溶接の焼けあとや微量な酸化物除去なども可能で800℃から1100℃の

高温の処理にも対応しています。真空炉では敬遠されがちなとして粉末の処理が可能になり、あらゆる材質の

還元処理が実現できます。

 

 

2. 窒素雰囲気熱処理

不活性ガスで空気の約7割は窒素ガスです。液化までの超低温、-193℃では冷凍食品の保管などにも

使用される馴染みのあるガスになります。熱処理では雰囲気形成以外に冷却ガスとして使用されています。

水素と違い還元性はない為、変色した金属表面の光沢感を戻すことは出来ませんが、非鉄などの低温焼鈍や

焼き戻しなどの安定化処理では酸化を防くことが出来るので雰囲気熱処理では最も使用されているガス

になります。

 

 

 

3. アルゴン雰囲気熱処理

「なまけもの」という意味のあるアルゴンガスも不活性ガスになります。窒素ガスに比べて高価になりますが

溶接で使用することが多く、酸化を嫌う金属には適したガスと言えます。特殊鋼の雰囲気として使用することや

非燃性である特徴を活かし、チタンなどのガス吸蔵金属の熱処理にも使用されています。

 

 

 

 

 

 

「雰囲気熱処理なら出来ること」

 

金属は温度還元をします。溶解させた鉄が銀面に輝くのは温度による還元です。温度の高い状態から

冷えるときに酸素と結びつく為、表面が黒色に変化します。材料なら酸洗や化学研磨などで酸化被膜を

除去することが可能ですが、部品になると寸法の変化やコストなど、精密部品になればなるほど

問題が多くなってしまいます。雰囲気熱処理ならば、最小限の寸法変化で済み、表面酸化による変色は

起こりません。

還元雰囲気炉なら可能なことは、同一の設備で「非鉄」「純鉄」の処理が可能という点です。

真ちゅうなどの処理を行うと、400℃前後で亜鉛が析出し、場合により炉内に残ってしまいます。

真空熱処理炉で真ちゅうの熱処理を行えなくはありませんが、同一設備でステンレスなどの処理を行うと

亜鉛が部品に付着してしまう可能性があります。これは熱処理の温度が違うために起こる現象で

炉内にこのようなことが起こってしまうと交換修理となってしまい、莫大な費用と長期間の稼働停止と

なってしまいます。そのため、材質や処理温度の制限がある場合がほとんどです。

還元雰囲気炉ならばそのようなことはありません。熱処理後に水素雰囲気で炉内を還元することが可能なので

材質により制限を設ける必要性は特にありません。

 

 

「粉末の処理が可能になります」

 

雰囲気熱処理でなくては出来ない材質は「粉末」です。真空熱処理炉は炉内の空気をポンプで引くことにより

酸素のない炉内、真空をつくります。ご家庭でもある真空パック装置も同じ原理です。粉末を真空状態にしようと

すると蓋で密閉していない限り、粉がポンプに目詰まりし故障の原因となってしまいます。

「粉末」の熱処理は基本的には雰囲気熱処理で行います。材質により使用するガスは異なりますが、

「水素」 還元や磁気焼鈍、焼鈍などを粉末の状態から行う目的で行われています。

「窒素」 高温で不純物や水分を除去する目的で使用されることがあります。

「アルゴン」 焼結金属の製造などで使用されています。金属以外の材質で使用されることもあります。

特に粉末の酸化物を除去するには、

「窒素」→「水素」 「アルゴン」→「水素」といった二段階の方式で熱処理を行うことにより

今までにない結果が出る可能性もあります。

前回のブログでもご紹介しましたが、「水素吸蔵合金」の粉末を「水素雰囲気」で熱処理を行うには

十分な知見と少量での試験が必要となります。

サーマル化工では多種多様の試験実績がございます。ご協力出来る範囲で試験を行うことも可能です。

 

 

 

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