「水素と金属」

「水素と金属」

「水素と相性の良い材質とは」

 

雰囲気熱処理で使用される水素ガス。水素ガスは還元性ガスで鉄の錆びを無くし、内部の不純物除去も可能に

なります。金属表面が光輝く銀面に仕上がる為、「光輝焼鈍」(こうきしょうどん)Bright Annealing

ブライトアニーリング(略してBA処理とも言われます)無酸素の状態(真空中・不活性ガス中)でも

光輝焼鈍は可能ですが、元々の製品や素材が変色してたり、汚れていたりするとその汚れのままに仕上がって

しまいます。還元(錆びを無くすこと)を同時に行いながら焼鈍が可能な熱処理は水素雰囲気中だけになります。

その中でも相性抜群の材質といえば「鉄ニッケル軟質磁性材料」ニッケル35~80%の合金

通称「パーマロイ」になります。パーマロイは世界中で通用する名称で略式はPB・PCなどとも表記されます。

 

 

78パーマロイ シールド(電磁波防止用)

 

「なぜ相性がいいのか」

 

水素と相性の良い材質といえば「パーマロイ」そして「純鉄」です。どちらも軟磁性材料で電気を通す部品

として使用されることが多い材質です。電気を通す部品で不純物と言えるもの「炭素」と「酸素」になります。

鉄の中に含まれる炭素は400℃から800℃で熱し、その後冷却を長くすることで脱炭作用が起こり、

純粋な鉄になっていきます。この時、大気中で行うと当然のように激しく酸化し、純鉄の場合はスケール

(表面が熱ではがれてしまいます)パーマロイの場合は変色し、酸化鉄、酸化合金へとなってしまいます。

そこで空気を追い出し、代わりに水素ガスで空間を満たすことで酸素はほぼなくなりますので、酸化はせず

炭素は外に出てしまうので、水素雰囲気下で行われる焼鈍処理は、電気部品に最適な処理となります。

 

 

純鉄(神戸製鋼所ELCH2) 板材 (研究開発用材料)

 

「ステンレスとの相性も良い」

 

露点の時にも触れましたが、ガスの水分量(酸素)が多いと簡単に酸化(変色)してしまうステンレス。

酸化(変色)の主な要因は18%あるクロム(SUS304の場合)と母材である鉄が酸素と結びつくため

に起こります。これは人間から見ると非常にやっかいな問題ですが、ステンレス側からいうならば、クロムも

鉄も酸素と結びつきたくて仕方がないのです。細かな粉体だった状態に、自然の姿に帰ろうとしているだけなので

不思議なことではありません。

オーステナイト系ステンレスは水素雰囲気下、1100℃前後の熱処理で還元作用が起こると同時に

「固溶化処理」が行えます(溶体化処理とも言います)これは固体に合金材料を溶かし込み、析出物を

出さなくする処理方法です。オーステナイト系ステンレスは「水に強い」というイメージがありますが

クロム炭化物が表面に出る状態になるとあっという間に錆びてしまいます。これを「粒界腐食」といい、

大気中での熱処理、もしくは水分量の多い雰囲気下での熱処理で起こります。例え、表面のスケールや

変色を強酸などで取り除いたりしたとしても、粒界腐食は進んでいますのでやがて錆びてしまうこと

でしょう。ここで水素雰囲気下で行うことでオーステナイト系ステンレスは本来の特性を得ることが

出来るのです。

 

 

SUS420J2 プレス材 (試作開発用部品)

 

「特殊鋼との相性も良い」

 

オーステナイト系ステンレスの固溶化処理だけに限らず、応力除去焼鈍処理(難加工の歪み取り)

フェライト系ステンレスの焼鈍処理、マルテンサイト系の焼入れ処理も水素雰囲気下で行えます。

(マルテンサイト系焼入れ処理を行う場合は対応の設備が必要になります、ご確認ください)

特に次工程でメッキや塗装などの表面処理が必要な場合は水素による還元雰囲気での熱処理は

必要以上の酸洗や化学研磨の必要が軽減されるので精度を求められる部品には適していると言えます。

また、インコネル600の応力除去、601の酸化皮膜処理、718・750Xの固溶化、時効硬化の

安定化には均熱が必要になります。水素分子の小ささは熱伝導の高さにも反映しています。

 

水素の還元力を最も活かせる材質は「純ニッケル」「モリブデン」が挙げられます。元々、酸化しにくい

金属ですが、部品への加工途中で微量の酸素が入ってしまいます。特に分析装置や半導体装置に使用される

材質なだけに微量の不純物でも不具合とみなされる場合があります。ここでは水素還元による熱処理が

必須工程となっています。

水素社会への取り組みは国を挙げての事業になっており、事例として酸化鉄の還元を分かりやすく

図解しているサイトがありますので、よろしければご覧ください。

参考:経済産業省・資源エネルギー庁WEBサイト     https://www.enecho.meti.go.jp/

 

「水素吸蔵合金とは」

 

熱伝導率が良く、還元力もあり、環境負荷軽減のエネルギーである水素。ですが全ての金属、材質に適して

いるわけではありません。金属の中には水素を取り込んでしまう「水素吸蔵合金」というものがあります。

最も流通している金属は「チタン」Ti になります。

 

 

64チタン 板材

水素雰囲気中でチタンをさらすとどうなってしまうのか。チタンは水素を素材内部に吸蔵し、やがて粉々に

破裂してしまいます。これは常温でも起こりうる現象で熱処理で温度を上げるとより吸蔵が進み、そのまま

炉外へ取り出しした場合、水素と酸素の反応で発火してしまいます。水素分子は最も小さいと言われており

不活性ガスなどで水素置換を行ったとしても金属内部に大量の水素が入っている可能性が高くなります。

これは火災事故に繋がり、その炎は臨界状態となります。慌てて水で消化しようとした場合は爆発事故に繋がり

非常に危険ですので絶対に行わないことです。水素吸蔵合金は他にも多くありますが、ほとんどがレアメタル

と呼ばれるものです。詳しくはご相談いただくか、産学官連携の大学、各地区の産業技術センターなどに

問い合わせることをお勧めいたします。

 

 

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